正義とは

生きていく上で必要なのは金。
そこに正しさなんて必要ないし、そんなもので飯は食えない。
わかりきっていて、何だか悲しくなる。

人のために生きるなんて、実は出来っこなくて、
人には一人づつの正義があって、

昔の私は年を取れば取るだけ
理知的でやさしい人が増えていくものだと思っていた。

世の中は善人で出来ていない。
建前でも本音でもなく、それが真実だと社会で泥にまみれ気がついた。

誠実さは求められていない。
正義はどこにも無く。
ただ時間と苦痛のみが頭上を通り過ぎていく。

生きるってなんだろうか、
僕が僕であり僕として生きた証はどこにあるのだろうか。

その日、僕は初めてそこを休んだ。
情熱はどこかに失せて、罵声はどこか心地よかった。

究極に自己中心的に生きるならどんな義務にも従う必要はなく、
自分が為したいことだけをして、楽しいことを追求すればいい。

身分は失い、この何の無い二十歳の身は全ての権力を失った。
残ったのは百数十万の金、こんなもののために・・・。

社会正義の実現者の夢はこうして潰えた、
僕が幼い頃から描いていた理想は二十歳で死んだ。

不思議と恨みの気持ちは湧かなかった、
ただ二ヶ月、本当に何もしなかった、

安アパートを借り、貯めていた金で暮らし、無作為に暮らした。
誰の役にも立っていないし、誰かに何かを強制される事もなかった。

今思えば僕は青臭い理想、正義を組織に託し、
それで疑うことをしてこなかった。
そんな事を酒を飲み、タバコを吸いながら考えた。



うん、これからは好きなことをして生きよう。
そして僕は今に至る、
無職金欠、フリーター、アルバイター。